RUNだむ日記【Returns!】

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「おくりびと」を観た

今日、カミさんと映画を観た。「おくりびと」。主演・本木雅弘、助演・広末涼子山崎努。脇役陣も笹野高史はじめ余貴美子吉行和子杉本哲太とハズレのない顔ぶれだ。この映画、遺体を棺に納める“納棺師”となった男(本木)が、仕事を通して触れた人間模様や社長(山崎)の影響などを受けながら成長し、その仕事に誇りを見いだしていく姿を描いた作品。

実はこの映画は、うちのカミさんのいとこの親友である納棺協会の木村氏が、本木さんや山崎さんに納棺の技術指導(と山崎さんの一部映像の吹き替え)をしており、縁があって映画の招待券をいただいたのである。“縁”というのは、先年亡くなった義父の著作「湯灌師」である。(ちなみに湯灌と納棺は、説明は省くがほぼ同義語である)「湯灌師」は、第三十二回北海道新聞文学賞を受賞した小説で、死体は生の終りではなく、死後の世界の始まりだとし、死体を清め粧うことをなりわいとして生きてきた男の物語だ。

ストーリーの詳しい話をしてしまうとネタばれになるのでしないが、人が生まれ人が死に、生き様死に様いろいろあっても、誰かと関わったその人生は、誰もが尊く愛おしいと思うのは僕だけだろうか。人が生きていくには、良くも悪くも儀式があり、それらが節目として成長や加齢や老化の自己認識となる。自分の死期をある程度予測することはあるかもしれないが、葬儀までを自ら確認することはできない。亡くなった死体を前に混乱する遺族にたいし、儀式として清らかに旅立つ死者を送り出すその仕事は、最後のけじめとして潔い。

もちろん僕も人間だから、死にたくはないがきっといつかは死ぬ。ちょっと残念だが、当たり前だ。でも、生きているうちにたくさん、ウレシイことや面白いこと、腹を抱えて笑えること、努力や我慢や感動や達成感を味わい、誰かに共感したり誰かを愛したりしたい。でも少し、いやかなり挫折したり、悔しかったり、怠けたり、怒ったり、悲しかったり、泣いたりもしたし、これからも続くだろう。それが人の(いや、僕の?)人生だから仕方がない。このまま付き合うしかない。

・・・・・・ま、そんな分けで少し真面目に、でも泣いたり笑ったりしながら、映画を観た一日だった。