RUNだむ日記【Returns!】

RUNだむ日記は、2012年にサービス終了した北国tv.でのブログ。新作は、RUNだむ日記【+Plus!!】で。

釧路湿原マラソン・2

幸か不幸か、仕事が忙しい。休日も夜も仕事だ。
とはいえ仕事があって本当にありがたいし、もちろん仕事があってこその趣味なのだから、文句を言うつもりなんかまったくない。だが、仕事に疲れて帰宅したら冷たいビールも飲みたい。そのあとは、夏だから焼酎じゃなく、ウィスキーのロックを冷水とともにグイッとやりたい。すると、もともと遅い時間だからすぐに眠たくなる。今期最大目標の大会、北海道マラソンは月末の日曜日に迫っているのだ。朝ランするなら、早く布団に入らなきゃ。・・・というわけで、なかなか『釧路湿原マラソン』の続きを書く時間がない―――ということを言いたいのである。
そうだ、北京オリンピックもいよいよ開幕しようとしている。とっととアップしないと、書きかけの完走記がお蔵入りしてしまいかねない。というか・・・もう、開会式が始まった~!!


翌朝は、アラームを5時40分に設定していたが、その前に目が覚めてしまった。とりあえず風呂に入り、ニュースを見ながら荷物を整理し、走る準備の一部も済ませる。7時15分にはじろーさんが迎えに来てくれるので、7時前にロビーに降りてチェックアウトした。朝食は7時からなので、ギリギリ食べられるかどうかと思っていたが、レストランをのぞいてみると、7時前なのにもう準備はできており、何人かはバイキングの列に並んでいる。その多くはランナーに見えた。もし間に合わないなら、コンビニで朝食を調達しようと考えていたので助かった。揚物系のおかずをパスすると、純和風に近い朝食になった。
短い時間ながらも食後のコーヒーまで飲んでロビーに出ると、じろーさんがソファに座って新聞を読んでいた。まったく時間に正確というか、せっかちというか、早め早めの行動は、時間にルーズな僕には尊敬に値する人だ。きっと仕事もテキパキなのだろう(ヨイショ)。

昨日と同じくホテル1-2-3へおまちゃさん、ちかたんさんを車で迎えに行く。ねっとらん札幌の青いTシャツと、同じ色の幟が鮮やかで目に痛い。その青は、昨日に続き今日も快晴の空の色に似ている。

会場の釧路市陸上競技場の近くでは、この秋完成予定の大きな総合体育館が建設中である。「湿原の風アリーナ釧路」というらしい。中にはランニングコースができるようだが、どうなのだろう。冬場のトレーニングにも心強い施設となりそうだ。

競技場のスタンドの一角では、カナダさんやおがまんさん、カッチさん、ichanさんをはじめ、楽走のみなさんも陣どり、すでに準備をはじめていた。受付へナンバーカードや参加賞を受けとりにいき、ついでにトイレを済ませる。そして軽く走り、ウォーミングアップとした。会場には例によってスズキムネオさんも来ていて、相変わらずニコニコと愛嬌をふり撒いていた。

過去最高の申込み(3000名超/走ったのはそれ以下だが)があったので、前回参加した3年前よりも、スタートラインに並んだ人数はあきらかに多い。係の方が男子は前に、女子はその後に並んでとアナウンスしていた。そんなこと決めたら不公平なんじゃないの?と思っていたら、それをまともに聞いている女子はいなかったようだ。それぞれの目標やレベルにあわせて位置どりをし、スタートの合図を待っていた。当然スタート後は混みあったが、それも心地よいくらい気候コンディションは穏やかだったので、気持ち良く走りだすことができた。

ところで、今回のレースの完走記、実をいうとラップを記すことができない。なぜかというと、スポーツウォッチのデータを先日誤って消してしまったからだ。分かりやすい。しかもレースからすでに10日以上経っており、記憶も薄れている。憶えていることをつなげて書くしかないようだ。

今回のじろーさんの指令は「2時間30分」だった。それは無理! といったのは僕だ。せいぜい2時間40分、とはじめは答えたのだが、調べてみると前回参加時(2005年)はなんと意外なことに2時間37分台で走っていた。僕にとってはそんなに悪い記録ではない。まさか前回の記録よりも遅いタイムを目標にするわけにもいかないので、目標は2時間35分としたのだった。
ところが、じろーさんはそれ以上かかったら「牡蠣はなし」とプレッシャーをかける。レース終了後、カナダさんのお宅の庭で打上げをすることになっており、じろーさんは厚岸の牡蠣をなんと100個も用意しているのだ。実は、何分で走ろうが遅かろうが速かろうが、リタイアしようが、何が何でも「牡蠣」は食うつもりではいたが、目標タイムをクリアするにこしたことはないのだから、もちろん真面目に走り始めたのだった。

スポーツウォッチのデータを消してしまったのは残念だが、もちろん走りながらはチェックしていたのだから、おおよそのことは分かる。今回の場合はとくに分かりやすい。何故かというと、ほとんどペースは変わらなかったからである。こんなことは珍しい。めったにない。ふつうの大会では、前半はまあまあスピードを維持して走れるのだが、後半は徐々に落ちていき、最後はヘロヘロになることが多いのだ。前半抑えて後半グイグイ伸ばすと恰好良いのだが、恐くてそんなことはできない。ヘタすると、前半抑えて後半落ちてヘロヘロということになりかねない。つまり、最後までもつ体力、脚力、エネルギーに自信がないのである。

それはさておき。スタート時はカナダさんたちの近くにいたのだが、数百メートルもいかないうちに、土台のスピードに差があるのを感じ、あえて置いていかれることにした。ついていくことは可能ではあったけれど、そのツケはかなり大きくなりそうな気がしたのだ。それが正解だったのかどうかは良く分からない。分かるためには付いていってみるしかなかったのだろう。

カナダさんたちを見送ったあと(?)は、一人旅だ。今回は給水エイドでは、必ず水分をとった。釧路にしては気温も高いから油断はできない。でも、スポンジは一回もとらなかった。暑いからといってスポンジを必要以上に使用し、その水滴が腹を冷やした経験が多いものだから、ちょっと苦手なのである。もっとも、苦手だからといって本当に必要なときに手にとれないのでは困るのだが。

たしか10Kmのラップは50分そこそこだったと思う。はじめの1~2Kmは5分を切っていたはずだ。5Kmを過ぎて新釧路川の堤防は、前回参加したときは一部オフロードの砂利道だったが、今大会は舗装されていて、快適に走れた。3年前は雨でドロドロだったので閉口したことを思いだす。やがて左折して釧路湿原道路に入る。先発のウォーキング30Kmの参加者のみなさんがすれ違いながら、いくつもの大きな声援をくださる。このやりかたは、少なくとも30Km参加ランナーにとっては本当にありがたいシチュエーションだ。励みになる。もちろん、声援に応えながらのランはうれしい。

2度目の参加なので、ある程度コースの記憶はハッキリあるので、その分の走りやすさはあった。15Kmの折返しの数百メートル手前でカナダさんたちとすれ違うが、気づいたのが遅れてエールは送れなかった。折り返すと、しばらくしてgenさんとすれ違った。いつもならこのあとジワジワと追い上げられ、やがてスルスルと抜かれ置いていかれるのだが、今回はgenさんが万全のコンディションではないので、それはなかった。

15Kmまでは、ずいぶん多くの方に抜かれた。甘んじて抜かれはしたが、自分としては遅いわけではないことは分かっていた。折り返してからは、ギアチェンジというほどではないが、少しがんばろうと考えていた。ビルドアップするチカラはたいしてないが、そう努力することによって、ペースの維持ができるかもしれない。

しばらく走ってからのことだと思うが、おがまんさんに追いつかれたのはどのあたりだったろうか。『やっとキャッチした~!』と例によって後からするすると近づき、横に並んだかと思うとそのまま走り去られてしまった。心優しいおがまんさんは、キャッチした獲物はちゃんとリリースしていったのである。「キャッチ&リリース」はマラソンの新しいマナーになったようだ(ホントか?)。後半のエイドにはお楽しみのスイカ、バナナがあり、スピードを緩めながらしっかりいただいた。抜いたランナーの数を数えながら帰りの堤防を走った。何人かには抜かれたが、多くのランナーを捕まえて抜き去ることはできた。

ところで、今回の大会には僕の今年のライバルがお二人とも参加しなかった。おおひろさんとシオさんである。伊達・洞爺湖・小樽と今年走った三つの大会すべてで自己ベストを記録できたのは、お二人の存在であった。しかしその三つともに、僕が最後は競り負けている。今回はお二人が走らないのだから、負けることもないのだが、そのかわり自己ベストの可能性も少なくなるともいえる。

そこで僕は、走りながらまわりのランナーを観察した。僕のペースと似ていながらもやや速そうな、かつ粘りがありそうでフォームが良い人。できればウェアが色や柄で認識しやすい人。で、これはという女性ランナーを見つけることができた。フォームにブレが少なく、近くで見ていて安心感(安定感)があり、萌葱色(もえぎいろ=萌えでる葱の芽の色。黄味がかった緑色で、淡いが少しシブイ)のランシャツが他にはない色だった。しかも僕の気が少し緩むと差が少しだけ広がるという絶好のペースだ。おがまんさんにリリースされ、湿原の沼を丹頂鶴の觜につつかれながら漂っていた(?)僕は、自ら望んで彼女に食らいついていこうと決めたのだった。後半、多くのランナーを抜くことができたのも、粘って彼女についていったからである。しかも一度は追いつきもしている。←ということは、最後はやっぱり競り負ける・・・のか!

市街地に入ると、市民のみなさんの声援が増える。この大会は、ほかの大会に比べると、声援の「声」が多いと思う。声を出して応援してくださる方がとても多いのだ。冗談で誰かに言ったのだが、もしかして『湿原マラソンでは「声」を出して応援をすること』という市条例があるのかもしれない。だから前回の記憶でもそうなのだが、市街地に入ると俄然元気が出る。声援に応えながら、つぎつぎ抜いていけるのだ。多分今年走った中ではいちばん声援に応えられた大会だ。

堤防を走っているときは、アタマの中の掛け声は『ビール!ビール!』だったのだが、市街地に入ってからは『牡蛎牡蛎!ビール!ビール!』になった。約束の2時間35分は、がんばれば届きそうだ。できれば後ろ指差されることなく「牡蛎」を食いたい。だから最後はさらにがんばった。しかし競技場に戻ったと思ったら、例の「この秋完成予定の大きな総合体育館」の外周も含めた大回りをさせられた。最後に競技場の周囲を回らせるコース設定は、やめてほしい。辛い。

気持ち的には終盤はキロ5分を切っていたのだが、ラップは正直でやっぱり5分そこそこだったと思う。競技場に入ってからも全力で走った。フィニッシュラインの直前でも一人女性を抜いた。数え始めてからのその人数は50人を超えていた。いつも後半ヘロヘロ型の僕にしては珍しいが、考えてみると前回参加したときも似たような展開だったような気がする。釧路はそんなふうに走らされるコースなのかもしれない。

フィニッシュでボタンを押すと、ゴールタイムは2時間35分ちょうどだった。
やった!とりあえず「牡蛎」は堂々と食えるぞ。
と思ったのだが、記録証を発行してもらったら、2時間35分「2秒」だった。ま、しかしこの「2秒」は、何かの間違いであろう。なかったことにしよう。

なにしろ、またまた自己ベストだし。今シーズン参加した大会は、これでハーフもフルも、そして今回の30kmも全て自己ベストとなった。もっとも、30kmの大会参加は3年ぶり2回目だから、前回よりも1秒でも早ければ自己ベスト、1秒でも悪ければ自己ワーストになるという分かりやすさではあったが。



大会終了後は、じろーさんの車で天然温泉「ふみぞの湯」で入浴し、カナダさんの家へ向かった。閑静な住宅街に建つカナダ邸の庭ではすでに打上げの準備は始まっていた。僕はほとんど手伝いもせぬまま(←開き直ってる?)、大きなクーラーボックスから、1本100円(以上)也の「麦とホップ」「クリアアサヒ」など、ほとんどビールに近い味わいのドリンクをいただく。うまい、うまい。

そのうち、ぞくぞくと打ち上げ参加者も集まった。20人くらいいたのではないだろうか。もちろんラン談義で賑やかに楽しく盛り上がったのは言うまでもない。
牡蛎はさすがに美味しゅうございました。ジューシーでありました。プリプリでした。炭火で焼いたサンマ、カレイ、サケなどもさすが釧路と唸らずにはいられない。
こんなことがあるから、やっぱり走ることも大会に参加することもやめられないのだ。
でも、『これでいいのだ~』(赤塚不二夫さん、亡くなりましたね。子供の頃おそ松くんやチビ太の絵をよく真似て描いていました。ご冥福をお祈りいたします。合掌)

楽しい時間はあっという間に過ぎてしまう。列車の発車時間があるので、一足先に腰を上げ、みなさんに別れを告げる。駅までじろーさんが車で送ってくれるのだ。至れり尽くせりで本当にありがたい。運転があるためにビール類を我慢してくれていたのである。本当に申し訳ない。僕には真似ができない。

また、釧路でお会いできたみなさんのおかげで、本当に楽しい釧路遠征となりました。とくにじろーさん、カナダさんにはお世話になりました。ありがとうございました。
(終わり)